野ばら ゲーテ

♪童は見たり 野中のばら
清らに咲ける その色愛でつ
あかず眺むる
紅におう 野中のばら
  
手折りて行かん 野中のばら
手折らば手折れ 思い出ぐさに
君を刺さん
紅におう 野中のばら
   
童は折りぬ 野中のばら
手折りてあわれ 清らの色香
永久にあせぬ紅におう 野中のばら

学校で歌ったのは上記の歌詞ですが、手塚 富雄氏が訳したものは下記です。

野にひともと薔薇が咲いていました。
そのみずみずしさ 美しさ。
少年はそれを見るより走りより
心はずませ眺めました。
あかいばら 野ばらよ。

「おまえを折るよ、あかい野ばら」
「折るなら刺します。
いついつまでもお忘れないように。
けれどわたし折られたりするものですか」
あかいばら 野ばらよ。

少年はかまわず花に手をかけました。
野ばらはふせいで刺しました。
けれど歎きやためいきもむだでした。
ばらは折られてしまったのです。
赤いばら 野ばらよ。

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で、何が言いたいのかというと野ばらはノイバラ(野茨、学名:Rosa multiflora)で普通は白色なのです。

処がこの詩は“赤いばら”、おかしいですね・・・?
どういうことかというとこれは田舎の少女を“野に咲くばら”に例えたのです。
そう、若き日のゲーテは“野に咲くばら”を手折ってしまったのです!!

nmzkが子供の頃ウィーン少年合唱団が来日しましてこの曲を歌いました。そのメンバーの何人かがニタニタ笑っていたのが当時の私には不思議でしたが、彼らは本当の意味を知っていたですね・・・。